出会い(後編)
雨の日の駐輪場、青のレインコートを着込む女の子がいる。彼女の名前は美波。中学・高校の6年間、自転車通学だった美波は、雨が降ればレインコートを着て自転車に乗るということが当たり前の女の子だ。
女子大生になった美波は、ある日、講義が終わり帰ろうとすると透明レインコートに黄色いレインブーツを履いた女の子を見つけた。
女子大生になった美波は、ある日、講義が終わり帰ろうとすると透明レインコートに黄色いレインブーツを履いた女の子を見つけた。
青の通学用レインコートを着て自転車を押して歩く女の子と、透明レインコートに黄色いレインブーツで歩く女の子。どうやら彼女たちは共にレインコートに愛着を持つ仲間だったようだ。土砂降りの中、二人は話をしながら足を進める。
既に二人のレインコートはかなり濡れてしまっているのだが、傘を差さずに歩いている美波のレインコートは特に酷く濡れている。本来なら水を弾くナイロンのレインコートは、色が濃くなってしまうほどの濡れかただ。
「美波のレインコート大丈夫?水入ってこない?」美波を心配する由佳であったが、自分の透明レインコートの方が危ないのは言うまでもない。
「へーきへーき!それにしてもよく降るね~、あっあたしここで曲がるね!濡れないように気をつけてね~」濡れたフード越しに笑顔を見せながら、美波は自転車に跨がり走っていった。
美波と別れた直後から、雨が少し弱まって代わりに風が出始めた。由佳の帰り道は向かい風のようだ。傘の横から吹き込む雨は透明のレインコートを濡らし、裾はレインブーツに張り付いてしまっている。そしてちょうど高層マンションの横に差し掛かった所で、強烈なビル風が由佳を襲った。
「きゃっ!ちょっとぉ~全然進めないっ…!」
傘が飛ばないように閉じて顔だけを守るように歩く由佳。風でレインコートは後ろに膨らみ、ピッタリと身体の前側に張り付いた。横殴りの雨が由佳のレインコートをバラバラと叩きつける。レインコートがバサバサと音を立てながら前に進もうとするが、風は強くなるばかりだ。「なんでっ…こんな…」苦しそうに必死に歩くように見える由佳だったが内心ではすごく興奮していた。
(由佳、あなたはこんなレインコートで雨を凌げると思ってたのね?もうあなたの身体はずぶ濡れよ?服が透けてるわよ?)
心の声に自分の体を見てみると、ボタンの隙間から入り込んだ雨はレインコートの内側を濡らしていた。
「もうっ!あっ!」さらに、突風にあおられ由佳のビニール傘は壊れてしまった。必死にレインコートのフードを押さえる由佳をシャワーのように雨が襲っていた。普通の人であれば物陰でしばらく様子を見て弱まったらまた歩こうと思うような天気なのだが、由佳にそんな考えは浮かんでこなかった。むしろ走ればすぐにでもこの場を抜け出せるのだが、由佳のレインコートフェチの心が足を止め、身体を感じさせてしまっていた。
「レインコート着てるのにずぶ濡れだなんて…すごい…もっと…レインコートフェチのあたしをもっと虐めて!」
さながら台風中継のレポーターの様に、レインコートの裾は後ろに舞い上がり、フードを押さえながら俯く由佳の頭の上から雨が叩きつけている。幸いここまで酷い雨風だったからか、誰にも由佳の姿は見られなかった様だ。
5分ぐらいするとようやく風は弱まってきた。傘が壊れてしまった由佳はレインコート1枚で家に急いだ。
「さすがに風邪引いちゃうよwww」自嘲気味に笑いながら走って家に着いた由佳は、とりあえず内側も外側もびしょびしょになったレインコートとレインブーツを玄関に脱ぎ捨て、お風呂場へ向かった。
「こんなに濡れちゃってる…ふふッ」と意味深な言葉を呟きながらシャワーを浴びる由佳であった。
おわり
既に二人のレインコートはかなり濡れてしまっているのだが、傘を差さずに歩いている美波のレインコートは特に酷く濡れている。本来なら水を弾くナイロンのレインコートは、色が濃くなってしまうほどの濡れかただ。
「美波のレインコート大丈夫?水入ってこない?」美波を心配する由佳であったが、自分の透明レインコートの方が危ないのは言うまでもない。
「へーきへーき!それにしてもよく降るね~、あっあたしここで曲がるね!濡れないように気をつけてね~」濡れたフード越しに笑顔を見せながら、美波は自転車に跨がり走っていった。
美波と別れた直後から、雨が少し弱まって代わりに風が出始めた。由佳の帰り道は向かい風のようだ。傘の横から吹き込む雨は透明のレインコートを濡らし、裾はレインブーツに張り付いてしまっている。そしてちょうど高層マンションの横に差し掛かった所で、強烈なビル風が由佳を襲った。
「きゃっ!ちょっとぉ~全然進めないっ…!」
傘が飛ばないように閉じて顔だけを守るように歩く由佳。風でレインコートは後ろに膨らみ、ピッタリと身体の前側に張り付いた。横殴りの雨が由佳のレインコートをバラバラと叩きつける。レインコートがバサバサと音を立てながら前に進もうとするが、風は強くなるばかりだ。「なんでっ…こんな…」苦しそうに必死に歩くように見える由佳だったが内心ではすごく興奮していた。
(由佳、あなたはこんなレインコートで雨を凌げると思ってたのね?もうあなたの身体はずぶ濡れよ?服が透けてるわよ?)
心の声に自分の体を見てみると、ボタンの隙間から入り込んだ雨はレインコートの内側を濡らしていた。
「もうっ!あっ!」さらに、突風にあおられ由佳のビニール傘は壊れてしまった。必死にレインコートのフードを押さえる由佳をシャワーのように雨が襲っていた。普通の人であれば物陰でしばらく様子を見て弱まったらまた歩こうと思うような天気なのだが、由佳にそんな考えは浮かんでこなかった。むしろ走ればすぐにでもこの場を抜け出せるのだが、由佳のレインコートフェチの心が足を止め、身体を感じさせてしまっていた。
「レインコート着てるのにずぶ濡れだなんて…すごい…もっと…レインコートフェチのあたしをもっと虐めて!」
さながら台風中継のレポーターの様に、レインコートの裾は後ろに舞い上がり、フードを押さえながら俯く由佳の頭の上から雨が叩きつけている。幸いここまで酷い雨風だったからか、誰にも由佳の姿は見られなかった様だ。
5分ぐらいするとようやく風は弱まってきた。傘が壊れてしまった由佳はレインコート1枚で家に急いだ。
「さすがに風邪引いちゃうよwww」自嘲気味に笑いながら走って家に着いた由佳は、とりあえず内側も外側もびしょびしょになったレインコートとレインブーツを玄関に脱ぎ捨て、お風呂場へ向かった。
「こんなに濡れちゃってる…ふふッ」と意味深な言葉を呟きながらシャワーを浴びる由佳であった。
おわり
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